8月11日は山の日でしたが、少し遅れて今回は香港のハイキングコースを紹介したいと思います。香港といえば高層ビルのイメージがありますが、地形と言えば実は険しく、傾斜の多い山地が多いのです。人口急増に伴い、山を居住地に変えるような動きは昔にありました。それでも一部は山のままで、ハイキングコースも設置されています。
香港の四大ハイキングコース
1麥理浩徑(マッ・レイ・ホウ・ゲィン、MacLehose Trail)日本語:マクレホース・トレイル
https://hk.ulifestyle.com.hk/spot/detail/400027/大浪西灣 より写真引用
全長100キロメートルで10段に分けられている、1979年10月26日に設置された香港で最初のハイキングコースです。当時の総督、麥理浩(マッ・レイ・ホウ、Crawford Murray MacLehose、クロフォード・マレー・マクレホース)にちなんで命名されました。麥理浩氏は在任期間が最も長い総督で、任期内には香港の教育、医療、福祉、インフラ、経済、住居などの問題改善に尽力し、評価が高く、香港市民からの人気も高かったです。カントリーパークやハイキングコースの整備にも手をかけたため、このトレイルが彼にちなんで命名されたのです。また、麥理浩氏と夫人は夫婦ともにハイキングが好きで、他にも記念として、麥理浩夫人の名にちなんだホリディビレッジがあります。
麥理浩徑の起点は西貢(サイ・ゴ―ン)で、終点は屯門(テュン・ムーン)です。沿道には多くの自然景勝地があります。例えばユネスコ認定世界ジオパーク―香港地質公園、そこには世界最大級の六角の柱状節理(columnar jointing)があり、香港で有名な砂浜―大浪西灣(ダイ・ロン・サイ・ワン)、香港の象徴―獅子山(シー・ツィー・サン、Lion Rock)、香港最高峰の山―大帽山(ダイ・モウ・サン)、香港の松島―千島湖(チン・ドウ・ウー、Thousand Islands)などがあります。2016年には世界トップ20のトレイルの一つとしても選ばれています。
また、1986年より毎年*行われるオックスファム・トレイルウォーカー(Oxfam Trail Walker)も麥理浩徑がルートです。国際NGOオックスファムが主催するチャリティウォーキングイベントです。参加者は4人でチームを組み、48時間以内に100キロメートルを完走します。
*2019年は大型社会運動、2020年および2021年はコロナウイルスの感染拡大により中止
2衛奕信徑(ワイ・イェッ・ション・ゲィン、Wilson Trail)日本語:ウィルソン・トレイル
http://www.hkgnu.org/countryparknortheastnewterritoriespatsinleng.htm より写真引用
1996年に設置された全長78キロメートルで10段に分けられているハイキングコースです。当時の総督、衛奕信(ワイ・イェッ・ション、David Clive Wilson、デイヴィッド・クライヴ・ウィルソン)にちなんで命名されました。衛奕信氏は総督としての評価は高くないが、麥理浩夫婦と同じく、登山やハイキングが好きなため、このトレイルが彼にちなんで命名されたのです。
衛奕信徑は唯一香港島、九龍半島と新界をまたがるハイキングコースで、起点は香港島の赤柱(チェッ・チュウ、Stanley)で、終点は南涌(ナム・チョーン)です。8つのカントリーパークを横切るのも特徴です。また、自然景観を楽しみながら、新界の村落の古い建築物も見れるのも特徴です。
3鳳凰徑(フォン・ウォン・ゲィン、Lantau Trail)日本語:ランタオ・トレイル
https://www.greenpeace.org/static/planet4-hongkong-stateless/2021/04/097763b4-ky_5375-scaled.jpg より写真引用
1984年12月4日に設置された全長70キロメートルで12段に分けられ、香港最大の島、大嶼山(ダイ・ユー・サン、Lantau Island)を一周するハイキングコースです。起点と終点はともに梅窩(ムイ・ウォー)です。島で最も高い山、香港で二番目に高い鳳凰山(フォン・ウォン・サン、Lantau Peak)にちなんで命名されました。香港で三番目に高い大東山(ダイ・ドン・サン、Sunset Peak)も通ります。他のハイキングコースと違って、沿道には高層ビルがなく、自然景観を一覧できるのが特徴です。また、大嶼山の古い建築物を楽しむことや漁村文化も垣間見えることもできます。
4港島徑(ゴーン・ドウ・ゲィン、Hong Kong Trail)日本語:ホンコン・トレイル
http://sergeyhiking20150221.blogspot.com/2015/07/2015719.html より写真引用
1985年4月1日に設置された全長50キロメートルで8段に分けられているハイキングコースです。起点はかの有名な山頂(サン・デェン、The Peak)の爐峰峽(ロウ・フォン・ハッム、Victoria Gap)で、終点は石澳(セッ・オー)の大浪灣(ダイ・ローン・ワン、Big Wave Bay)です。名前の通り、香港島にあるハイキングコースです。市街地の景色と自然景観を同時に楽しめることもあり、途中で下りられるポイントが多いため、初心者向けです。2013年には旅行ガイドブック、ロンリープラネットによる都心部トレイルランキングで10位にランクインしました。さらに、CNNにより世界ベスト23の都心部トレイルの一つとしても選ばれています。また、香港の環境保護慈善団体、緑色力量(ロック・セッ・レック・リョーン、Green Power)は毎年*港島徑でチャリティーハイキングイベントを行い、環境保護とその教育の普及を目指しています。
*2020年から2022年まではコロナウイルスの感染拡大によりオンライン形式に変更
四大ハイキングコースの厳選おすすめパート
3位:麥理浩徑第五段
香港を象徴する獅子山から九龍半島とヴィクトリアハーバーを俯瞰できるのが魅力的です。さらに、次の第六段では金山(ガム・サン、Golden Hill)では多くのサルが生息し、一瞬香港とは思えないほどの迫力があります。ただし、サルに食べ物を奪われることや、サルによりケガすることもありますので、気をつけた方がいいです。
https://www.canon.com.hk/tc/club/article/itemDetail.do?itemId=10378 より写真引用
2位:鳳凰徑第二段
秋の夕日とススキが一緒に目に収められるのが最大の魅力です。他の山やハイキングコースでもススキは見れますが、大東山にはとにかくススキが多く、秋風にたなびくススキを一望できます。ただし、私みたいなイネ科花粉症の人には厳しいかもしれないです。(泣)
https://www.pernaton.com.hk/single-post/2016/11/18/秋冬行山推介-大東山 より写真引用
1位:港島徑第八段
都心部トレイルとして有名な港島徑の第八段は、高低差があり、龍の背骨を歩いているようなことから、龍脊(ロン・ツェッ)と呼ばれています。石澳、赤柱、大浪灣あたりの海岸線をきれいに見れます。
https://www.oasistrek.com/dragons_back.php より写真引用
今回は香港のハイキングコースを紹介しましたが、いかがでしょうか。高層ビルばかりというイメージの香港でもこのようなオアシスがあり、また、他では味わえない景色もあるので、興味がある方はぜひ見てみてください。ただし、ハイキングには一定程度の危険性が伴うため、現地に行く際はリスクを考慮し、経験のある香港人の友人を誘い、一緒に行くのがいいと思います。無理のない範囲でちょっと違う香港を楽しんでいただけるのが何よりです。