無論考えたくはないが、人間はいつか死を迎える日がきます。日本との葬儀の違いやマナーなど香港にもございます。今回は香港の葬儀でのタブーや風習についてご紹介したいと思います。
①帛金(バッ・ガム)とは何?
一言で言えば、日本で所謂お香典です。遺族が葬儀の経済的負担を減らすためであり、また亡くなった方への敬意でもあります。香港では縁起の良いことだけが偶数を使うため、伝統的に、お香典には 1ドルコイン を追加して奇数にします。その1ドルコインで一回のみの出来事という意味もあり、下1桁を1にする必要があります。広東語で偶数は【雙數<スォン・ソウ>】と発音し、【傷<スォン>】との発音が似ているため、偶数にしないのです。
もしお香典の合計金額から1ドルを抜いた後に下1桁が9の場合、とても縁起が悪く、9を広東語で発音すると【九<ガゥ>】であり、【長久<チョン・ガゥ>(所謂永遠に長く)】連想させてしまう発音のため、お香典は必ず、1ドルコインを入れましょう!
②吉儀(ガッ・イー)とは何?
一般的に喪主が香典袋(不祝儀袋)もしくは、供花(献花)をいただくのですが、その喪主からのお返しとして参列された方には吉儀(ガッ・イー)が渡されます。日本でいう所謂、お香典返しです。吉儀(ガッ・イー)は基本的に涙を拭くためにティッシュ1枚と悲しく苦い状態から少し甘味を与えてくれる飴ちゃん1つ、そして昔ならば、バスやMTRの片道にちょうど良い1ドル(この場に戻ってこないような意味で)が入ってます。今ではその1ドルを寄付することが多いです。
また吉儀は、家に持ち帰ると縁起が悪いとされ、すぐに使うことが基本です。
③家の長老が亡くなったとき、親族は葬式で孝服(ハウ・フォッ、喪服)を着る必要があるのか?
故人の配偶者、子供、義理の娘、息子、孫以外の故人の兄弟、配偶者、甥はそれを着用する必要はありませんが、葬式のときは、敬意を表すために白帯を腰に巻くことを推奨されております。養子も含め、実の子と同じ服装でいる必要があります。
④頭花(タウ・ファー<髪飾り>)黒砂帯(ハック・サー・ダイ<頭につける黒い帯>)とは?
黒砂帯は一般的に男性が使用します。
頭花は女性が付ける敬意の一種で、白、青、緑の頭花に分けられ、色ごとに意味があり、白頭花は妻、娘、嫁、青頭花は孫に、緑の頭花は甥などに分けられています。
香港葬儀での禁忌や注意事項
葬儀での伝統は昔から長くあり、また宗教別に禁忌も違うとされているため、キリがないとされています。そのため、信じるか信じないかはあなた次第です。
① 葬儀の参列者は、故人の(八字<バッ・ジー>)所謂四柱推命での命式が合わない人は参列しないほうが良いとされています。例えば、午(うま)年の人は、子(ねずみ)年のお葬式に出ない方がいいという考えです。
※但し筆者個人的な考えでは、現代では他人の命式なんてわからないので、気にしない人が多いと思います。
② お葬式ではできるだけ冷静さを保ち、涙を流さないようにします。もし万が一、我慢できず、故人の遺体に涙を流してしまった場合、故人は成仏できず、魂がこの世にとどまってしまうとされています。
③ 香港の民間的な信仰からすると、棺を閉めるとき、【煞<サッ>(凶の気)】があるため、葬儀で棺を閉めるときは参列者には、棺から背中を向けるようにしなければなりません。
④ どなたの葬儀に参列しても服装は基本的に質素な服装で、鮮やかな色はタブーであり、黒か白の服装が適してます。
⑤ もしも葬儀で体調が優れなくなったときは、霊堂の職員に元宝を貸してもらい、【跨火盤<クヮン・フォー・プン>】をすることが可能です。跨火盤とは、火鉢を跨(また)ぐということです。もし体調が酷く優れない場合は、冥銭を頭から足先まで三回はらいきよめ、もう一度火鉢を跨ぎます。跨火盤は冠婚葬祭でよくされている風習であり、火鉢を跨ぐことによって邪気を追い払うとされています。たとえば裁判が終わったあとに、家に入る前など。一説によると、嫁入りするときに跨火盤をするのは、日本から始まった伝統であるとされています。
⑥ 吉儀(ガッ・イー)<香典返し>をもらったとき、決して「ありがとう」と言わないように。何故ならば、葬儀は縁起の良いことではない出来事だからです。
⑦ 旧暦7月の出棺を避ける必要があります。香港での旧暦7月は鬼門が開く月であり、7月に出棺をしてしまうと、故人の遺族にたくさんの霊が憑りつかれてしまうとされてます。
⑧ 葬儀に参列するときは正念を持ち、決して変な考えや発言をしないようにしましょう。
たとえば、故人の写真を見て「こんなに可愛い子なのに、本当に残念だ」など。
⑨ 当たり前のことですが、葬儀のときはなるべく、声を小さく低くをお話しましょう。決して大声を発したり、笑ったりしないように。
⑩ 葬儀場や会館では、決して他人の葬儀を見に行かないように。
⑪ 葬儀が終わったら、遺族に対して【再見<ジョイ・ギン>】と言わないように。
【再見<ジョイ・ギン>】日本に訳すとさよならという意味もあり、もっと掘り下げると「またね!」や「また会いましょう!」という意味なので、縁起が悪いです。
⑫ 葬儀に参列後、帰宅前には賑やかなところへ行きましょう。葬儀での悪い気を持って帰ってしまわないようにという意味があります。
⑬ 妊婦はできる限り葬儀への参列を避けましょう。万が一どうしても参列しなければならない場合は、赤い帯をお腹に巻くと良いとされています。お腹の中の赤ちゃんを守るためとされています。
禁忌や注意事項に関しては13個ほど上げましたが、本来はまだまだございます。但しキリがなく、今回は一般的なものをご紹介させていただきました。いかがだったでしょうか?
もしも万が一香港での葬儀に参列する機会がありましたら、一度この記事で復習すると良いです。