多様な文化に囲まれている香港での結婚式は様々なしきたりがあります。前回のお葬式編と同じく、宗教によって結婚式の風習が違いますので、あくまでもご参考にごらんください。香港でご友人や親族の結婚式に参加される予定があるときは事前に読んでおくと良いでしょう。^^
ブライズメイド・アッシャー
香港にはブライズメイドとアッシャー文化があります。ブライズメイドは「花嫁の付添人」という意味で、結婚式でお揃いのドレスを身にまとって、付き添いをする女性のことです。ここで注意していただきたいのは、花嫁とお揃いだからと言って、白や赤のドレスはNGです。あくまでも花嫁より目立たないように、近年ではパステルカラーが人気だそうです。アッシャーはその男性バージョンでブライズメイドと同じ役割です。花婿と同じスーツやネクタイをお揃いにするのもあります。どちらも花嫁と花婿の姉妹、兄弟、親友などが務めることが多いです。ちなみにブライズメイドを広東語で「姐妹(ジー・ムイ)」と言い、アッシャーは「兄弟(ヘィン・ダイ)」と言います。
姉妹・兄弟の人数
基本的に花嫁と花婿の両側が同じ人数で合わせることが多く、偶数になるようにします。また人数が多いとごちゃごちゃしてしまうため、6名すなわち合計12名までにするようにします。必ず合わせなければいけない訳ではありませんが、気にする方は気になるかもしれません。筆者の場合は、20名とか多々ありましたので、なんとも言えませんが・・・
姉妹・兄弟の条件
基本的に未婚で、虎年の方はNG(気が強いとされているため)とされてきましたが、近年では気にしない方も多いです。また姐妹・兄弟を務めるのは、基本三回までとされており、3回以上務めると自分が結婚できなくなると言われていますが、花嫁と花婿と一緒に企画準備をするため、どうしても見つからない場合は自身が一番信用している友人や兄弟が良いでしょう。また姐妹は必ず女性で兄弟は必ず男性とは限りません。
結婚当日のスケジュール
ここで、朝から披露宴の開始までの時間帯で宗教別に分かれます。例えば、キリスト教やカトリック教などの家庭では、チャペル式の結婚式を行う方が多いです。また無宗教の方は香港の「婚姻登記處(ファン・イャン・ダン・ゲイ・チュウ、Marriage Registration and Records Office)」、いわゆる結婚登録をする場所で、婚姻届を出して親族や友人が参列可能です。香港では婚姻登記處は5か所あり、予約制となっております。ここで本格的な入籍手続きができます。結婚のみならず、離婚や結婚証明の取得などをする政府機関です。婚姻登記處で結婚式を行う場合でも、希望する宗派を選ぶことができます。キリスト教希望の場合は、進行役のスケジュールによりますが、牧師となる場合もあります。仏教や道教の場合はまた変わってきますが、全て話すと長くなってしまいますので、今回は割愛して主流な、如何にも香港式でお話します。
また、婚姻登記處に行く前にやる儀式もあります。まず、花婿と兄弟チームは花嫁を迎えに行きます。(家庭事情によっては花嫁が前日にホテルに泊まる場合もあります。)花婿は到着しても、そう簡単に花嫁を迎えることができません。ここからが楽しい見せ所です。(笑)姉妹チームは門番となり、邪魔をし、なかなかドアを開けません。様々な意地悪なクイズに答えたり、ゲームを歌ったりなどをしなければなりません。例えば『花嫁の長所を20個言う』や『花嫁の好きな歌を歌いながら腹筋100回』など、兄弟チームは花婿の手助けをして、クリアしなければなりません。最後には「開門利是(ホイ・ムン・レイ・シー)」と言っていわゆるご祝儀を渡さなければなりませんが、ここで物凄い額を要求されます。永久(末永く)の久の発音に因んだ、9の数字は縁起よく999,999香港ドルの要求で姉妹チームは言い出しますが、大体折合が、9,999香港ドルか裕福な家庭なら99,999香港ドルで折れてドアが開かれます。最終的にお金でものをいわす感じが香港らしく、おもしろいです。(笑)
ドア(門)を開けたあとは「敬茶(ゲン・チャー)」という儀式が始まります。いわゆるお茶を差し上げる儀式ですね。まず場所は花嫁側の家なので、その家族で最も年配の方(例えばおじいちゃんおばあちゃんやひいおじいちゃんひいおばあちゃんなど)に、花嫁と花婿がお茶を差し上げる儀式です。お茶を差し上げた後にお茶をもらったお返しにお年玉を渡します。この儀式が終わったら、今度は花嫁を連れて花婿の家に行き、同じく「敬茶」の儀式をやります。近年では、ホテルに二室借り、A室からB室に行くような感じで、簡易化されているケースも多いです。
この儀式を終えてから婚姻登記處へ行き、入籍する方もいます。
これが終わるとやっと遅い昼食の時間です。レストランでの昼食は基本ですが、やっぱりここでは香港人らしく飲茶にするパターンが多いですね。少し休憩を取り、だいたい16時頃には花嫁と花婿は披露宴会場へ向かい、化粧直しなどの準備をし、そしてそのまま夜の披露宴です。
先ほど婚姻登記處に直接入籍する方もいますが、そうでなく、弁護士を雇い、披露宴で結婚届にサインして入籍するパターンもあります。これを披露宴のパフォーマンスの一つにすることも多いです。
今回の前編では大まかの流れやちょっとした儀式を紹介させていただきました。次回後編では御祝儀やお返しなどのお話をさせていただきます。