「美食のパラダイス」と言われる香港には、地元料理はもちろん、海外料理もたくさんあります。その中には、日本料理は個人経営から大手チェーン店まで数多くあります。例えば、回転寿司のスシロー、定食屋の大戸屋、天ぷらの天丼てんや、牛丼のすき屋、ラーメンの一蘭など日本人が馴染む味は香港にもあります。今日は香港における日本料理店の歴史と香港にあるからこそ生み出されたとある日本料理店メニューについてご紹介したいと思います。
香港における日本料理店の歴史
『大阪日本料理』は香港で最も古いと言われている日本料理店です。様々な困難を乗り越えて、今もなお営業をしており、現在はリーガル九龍ホテルにあります。
『大阪日本料理』は旧名『大和日本料理』でした。『大和日本料理』の頃からたくさんの著名人がご愛顧しており、特に有名だったのがあのブルース・リーです!
1972年4月に『大和日本料理』はオーナー変更や買い取りなどの理由で『大阪日本料理』に改名しました。当時は銅鑼灣(コーズウェイベイ)には『友和』、尖沙咀(チムサーチョイ)には『金田中』、中環(セントラル)には『柳生』がありました。また、1970-80年代はバブル時代でもあったため、『名古屋』や『東京レストラン』などの日本料理店が一気に増えました。しかしどれも高級すぎて、一般人が気軽に行けるお店ではなかったそうです。
1989年に香港で最初の回転寿司が沙田(サーティン)にできました。それが『元禄壽司』です。(日本の『元禄寿司』とは無関係です)1995年に『元禄壽司』が『元緑寿司』と改名しました。都心から離れた沙田(サーティン)に店を構えたため、値段がガクンと下がりました。このことから「お寿司=高級」のイメージから「庶民でも楽しめる味」になりました。
しかし、『元緑寿司』は2016年の天水圍店が最後となり、今は無くなっています。
70年代ころの香港人は刺身(生魚)を食べるとお腹を壊すと考えていたが、日本料理店が香港で普及していったことによって、刺身に抵抗がなくなり、今では日本人よりも食べているとも言われています。(笑)
香港の日本料理店限定メニュー
『蟹籽沙律』
80年代に現れた香港の日本料理店限定メニューがとびこサラダです。
千切りにしたキュウリとカニカマをマヨネーズで合え、上にとびこをトッピングしたサラダです。
ただし、『とびこサラダ』を広東語に訳すと不思議なことに『蟹籽沙律』です。「とびこ」が「カニの卵」になっています。
あれ?カニの卵ではないのに、なぜ『蟹籽沙律』なのでしょうか?
これについては諸説があります。最初はカニの卵を使っていましたが、カニの卵を仕入れるのが困難のためとびこで代用するようになった説や、カニカマを意味してカニととびこという意味説などです。実際になぜ『蟹籽沙律』という名がついたのかは、謎に包まれたままです。
お店によってはマンゴーも一緒に合えるのもあります。
トロピカル感が増して意外と美味しいですよ。(笑)
『花之戀』
『花之戀』は酢飯を香港人が最も好きな寿司ネタ、サーモンで巻き、真ん中にちょいとマヨネーズを入れ、上にとびこをトッピングしたお寿司です。
『花之戀』を開発したのは1993年に紅磡(ホンハム)でお店を構えていた『加太賀寿司店』の大将であった林國華氏です。彼が奥さんに100輪のバラを買ってあげられなかったことにより、自らの技術(お寿司を握る腕前)を利用して奥さんを喜ばそうと考えた一品です。しかし残念ながら奥さんは林氏から離れていったそうです。
それから、林氏はこの『花之戀』をメニューに載せ、可愛らしい見た目から話題になり、様々なメディアに取り上げられていました。今では大人気なお寿司となりました。
今回の紹介はいかがだったでしょうか?
香港に行った際はぜひ日本では食べられない『とびこサラダ』と『花之戀』をご賞味してみてはいかがでしょうか?
違う角度の日本料理を味わえるかもしれません。
カバー画像出典:https://www.flickr.com/photos/26502588@N02/3450496873/in/photostream/