年宵花市
香港では毎年の年末、春節・旧正月の花や飾りを準備するため、香港島の維多利亞公園 (ビクトリアパーク)をはじめ、各区計箇所の公園にて「年宵花市(ニン・シゥ・ファー・シー)」が開催されます。
今年は残念ながらコロナの影響により、全ての「年宵花市」やイベントがキャンセルとなりましたが、今回は香港の旧正月前の伝統文化である「年宵花市」についてご紹介いたします。
「年宵花市」ってどんなものが売ってるの?
まずは冒頭で言っていたように、「年宵花市」は旧正月の花を準備するために開かれるので、お花や鉢植えがメインとなります。基本的に縁起の良い意味をもつお花や鉢植えが売られ、お家の風水として飾られます。ここからはいくつかのお花をご紹介いたします。
キンカン(金桔・金柑)
金桔は様々なサイズがあり、ビルの入り口やオフィスのロビー用の大き目なサイズからお家で飾る小ぶりなサイズまであります。
また旧正月に飾られる金桔は観賞用であり、食用ではありません。
黄金色のキンカンは富をもたらすと考えられており、広東語で金桔はガムカッ、「吉(ガッ)」とよく似ており、縁起が良いとされています。
紅桃(赤い桃の花)
桃の花には二つの意味があります。「桃花運」いわゆる恋愛運という意味があり、今年の恋愛運を上げたい方にはピッタリなお花です。もう一つは紅桃は広東語でホン・トウ、ビジネスが上手くいくことを表す鴻圖(ホン・トウ)と発音が似ており、人や財産との縁をつなぐと考えられています。こちらもサイズは様々なので、ピッタリなサイズを見つけて飾ることができます。
水仙(スイ・シーン)
水仙の場合は家のテーブルやサイドテーブルに置かれることが多く、その香りが新しい一年の幸運、チャンス、お金をもたらしてくれると考えられています。
ツノナス(五代同堂)
5つの角のような不思議な形が、五代同堂(ンー・ドイ・トーン・トォン、家族5世代が一緒に顔を合わすくらい長生き)を表していると考えられています。
置くタイプと、ぶら下げて飾るタイプの2種類があります。
ここまでが花市で売られるメインのお花や鉢植えですが、他にも胡蝶蘭やカラフルな菊なども売られています。
年宵とは?
言葉の意味としては歳の市です。
また実際に年宵は大きく三つのブースに分かれます。一つは「濕貨ブース」と言って、濡れた商品を売り、すなわち、水につけているお花のことで年宵花市の「花市」のこととなります。
そして濡れた商品の逆で、乾いた商品を売る「乾貨ブース」があります。これはおもちゃ、グッズ、文房具や飾りなどになります。特にその年の干支に関するグッズが多く販売されます。最後は「快餐ブース」です。快餐(ファイ・ツァン)は食べ物の事となります。香港と言えば、食べ歩きの天国です。食べ歩きで思いつく香港のソウルフード全般が販売されます。エッグワッフルやフィッシュボールなどはもちろん、新たな食べ歩きメニューもここで現れます。ちなみに個人的に一番好きだったのは、揚げアイスクリームでした。(笑)
基本的に「濕貨ブース」は政府の管轄となるため、毎年政府が指定した公園で行われるのですが、「乾貨ブース」は、一般的なフリーマーケットと同じカテゴリの商品が中心のため、商業施設や民間で開催することが多いです。
「年宵花市」は旧暦十二月の二十四日か二十五日に始まり、正月の元日朝六時に終わります。
香港年宵市集
政府が行う年宵は花市がメインのため、実際にマーケット(市集)に行きたい方はネット情報などから行く若者が年々増えています。特に近年ではハンドメイドマーケットが流行っています。そしてこのようなイベントからインターンとして学生が売り子となって、表に立つこともあります。こうした学校行事の一つとして、お客様と接することで、社会経験を積んでいきます。
ここで、数か所今年のおすすめ年宵をご紹介したいところではございましたが、あいにく今年の『花市』も『市集』も全てキャンセルとなり、香港では年宵に行けなくなってしまいました。年宵に行くのは香港人が最も楽しみにしている行事の一つなのですが、今年は仕方のないことですね。来年こそ開催できるよう祈っております。
『花市』 自体はキャンセルとなりましたが、旧正月用のお花や鉢植えをお買い求める場合は「太子(プリンスエドワード)」駅から、3分ほど歩いたところ、「花墟道(フラワーマーケットロード)」にて販売されています。もしくはネット予約も可能です。
それでは、皆様!良い旧正月を!