コロナ禍で香港に帰ることができないこの二、三年間に、燒味(シウ・メイ/香港式焼き物)や煲仔飯(ボウ・ジャイ・ファン/香港式土鍋ご飯)などの広東料理が恋しく思う香港人は少なくありません。そんな中で、とある広東料理レストランはコロナが流行りはじめの時期に東京神保町でオープンしました。さらに、今は上野に三店舗目を構えています。そのレストランこそが、香港人のヘンリーさんと広東人で料理長の羅(ロー)さんが一緒にはじめた「粤港美食(えつこうびしょく)」です
思い切ってIT業界から飲食業界へ
ヘンリーさんは、香港にいた頃はITのお仕事をしていました。日本での留学経験があったため、日本に対する愛着があり、いつしかもう一度日本へ戻りたい気持ちがありました。そんな時、友人からのお誘いを受け、日本で飲食業をやると決めました。彼曰く、IT業は日々、時代を追いかけなければならないのだが、いつしか限界がきて、簡単に淘汰されると考えていました。ただし食に関しては、日々食べなければならないため、飲食業なら長くやっていけると考えてましいた。そして飲食業なら、外国人にとってもハードルが低く、日本語があまり流暢ではないヘンリーさんにとっては、比較的に容易でした。もちろん、飲食業でも大変なこともあります:「僕は香港で飲食業に携わったことがないため、0からのスタートで、日々料理長に怒られてました。自分のプライドを捨て、姿勢を低くして、自身の努力と意志で戦い抜くのです。」
危うい時こそ、チャンス。コロナがチャンスに。
ヘンリーさんと羅さんはコロナ前に、既に一緒にお店をオープンするアイデアがありました。貸店舗を探していたが、設立したばかりの外国人会社を信用できる日本人オーナーは少なかったそうです。そしてちょうど2020年にはコロナが始まり、緊急事態宣言の期間では、どのサービス業も苦難に満ち、8時前に閉店してしまいお店もある中、ヘンリーさんと羅さんも途方に暮れていました。
一方コロナの影響で、実店舗を借りる人も減り、そしてそのまま閉店してしまうお店も少なくなかったそうです。その影響もあってオーナーたちも店舗を貸すハードルを下げたと言います。ヘンリーさん:「誰もコロナがいつ終わるか分からないが、歩き続けるしかない」ヘンリーさんと羅さんは最終的に神保町にある本来居酒屋だった店舗を借り、近くには、主にサラリーマンや留学生が多い地域でした。これが粤港美食の第一店舗となり、在日香港人と香港が大好きな日本人もコロナの影響で香港へ行けず、わざわざ足を運びにきたと言うのです。コロナ期間では、むしろ商売がますます良くなり、半年後には、同じく神保町に2店舗目をオープンし、2022年11月には上野で3店舗目をオープンさせました。
粤港美食 バラエティ豊富なメニュー
粤港美食の店名の由来は、広東人の羅さんの「粤」、香港人のヘンリーさんの「港」を一緒にさせ、「美食」という三つ目の要素を組み合わせたのです。ヘンリーさんは日本人が一目ですぐ分かるような簡易な店名を希望してました。食材によっては、日本で100%の香港料理を再現するのは難しく、またヘンリーさんはただ「香港」の二文字を消耗したくない気持ちもあったそうです。但し香港料理も広東料理もできる限り再現したく、メニューに細心の注意を払えばお分かりの通り、日本の中華料理店でよく見かける餃子や麻婆豆腐などはありません。
粤港美食の各3店舗のメニューには、それぞれのおすすめ料理があります。1号店は炒め物、2号店は燒味(シウ・メイ/香港式焼き物)、3号店の上野店は点心がおすすめです。おすすめ料理以外でもメニューはバラエティ豊かで、上野店には炸兩(ジャー・リョン/油條(棒状の揚げパン)入りライスクレープ)があり、菠蘿包(ポー・ロー・バウ/メロンパンみたいな、通称パイナップルパン)、叉燒酥(チャー・シュー・ソウ/チャーシューパイ)、蛋撻(ダン・タッ/エッグタルト)、艇仔粥(テン・ジャイ・ジョク/サイパン粥)などなどがあります。味の方は、特に日本人テイストに合わせてなく、ヘンリーさん:「実は意外と日本人も食べれる味で、調整する必要はありません。」
100%の香港広東料理を再現するのは難しい
香港や広東料理の多くは、手順が複雑で、誰もがやる気があるとは限らなく、食材と調味にもこだわりがあります。例えば、多くの香港人は鶏が好きだが、日本で新鮮な鶏を手に入れるのはかなり困難で、鶏にもたくさんの種類があり、鶏肉の質感も香港とは、天と地の差があります。簡単な一品の白切雞(バッ・チィッ・ガイ/茹で鶏)は、香港人が好む食感で肉質と脂肪の比率がぴったりな「香雞」を使ってこの料理を作ってます。
その他に、炸兩の見た目はライスクレープに棒状の揚げパンを巻いているように見えるだけだが、でも本当にそんなに簡単なものなのか?羅さん:「我々がその土地で生まれそだって食べた物で、子供の頃から大人になるまでの食文化か、北の人間には作れない、調味も同じように真似できないのだ」という。叉燒酥(チャーシューパイ)は「酥(パイ)」と聞くだけで、複雑のように聞こえます。羅さん曰く、パイを拓く必要があり、一層づつの皮に、十分な冷たさが必要で、冷凍のバターを使用することによって、レイヤー感を出せるとか・・・などなど、羅さんがいくら苦悩しても自分のこだわりに堅持する姿に感心します。
自分らしく、努力は継続なり
ヘンリーさん曰く、自分のやるべきことを貫き、口コミが増え、それが一番の宣伝方法となり、常連客が常連客をまた紹介してくれて、そして羅さんに隠れメニューをお願いすることもあったり、常連客が2号店の2階がプライベートキッチンになったりします。将来についてヘンリーさんはこう言った:「今やるべきことを自分らしくやります。私たちは大きな会社ではなく、まだ正規的な訓練もないため、ミスなども多々あるかもしれないが、改善をして最善を尽くしてまいります。」
粵港美食 上野店
住所:〒111-0043 東京都台東区上野4-4-5 Dreamers ミトミビル2階
電話:03-5846-8078
営業時間:午前11:30 – 午後22:00,年中無休
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